ある時與板の里へわたらせ玉ふとて、友どちのもとよ りしらせたりければ急ぎまうでけるに、明日ははやこと方へわたり玉ふよし、人々な ごり惜しみて物語聞えかはしつ、打とけて遊びける中に、君は色くろく衣もくろけれ ば、今より烏とこそ申さめと言ひければ、げによく我にはふさひたる名にこそとうち 笑ひ給ひながら