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良寛歌集 (Kashu) | ||
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行く水はせき止むこともあるらめどかへらぬものは月日なりけり
行く水はせきとどめても有りぬべし往きし月日の又かへるとは
行く水はせけば止まるを紅葉ばのすぎし月日の又かへるとは
古のふみにも見えず今日の日のふたゝびかへるならひありとは
ひさがたの雲のあなたに關すゑば月日のゆくをけだしとめんかも
ねもごろのものにもあるか年月はしづが伏せ屋もとめて來にけり
うたてしきものにもあるか年月は山のおくまでとめて來にけり
はじめより常なき世とは知りながらなぞ我が袖のかはくことなき
武藏野の草葉の露の長らへてながらへ果つる身にしあらねば
あらたまの長き月日をいかにして明かしくらさん麻手小衾
ひさがたの長き月日をいかにして我が世わたらんあさで小ぶすま
あすあらば今日もやかくと思ふらん昨日の暮ぞ昔なりける
今日の日をいかにけたなん空蝉の浮き世の人のいたまくもをし
なよ竹のはしたなる身はなほざりにいざ暮さまし一と日/\に
ゆくりなく一と日/\を送りつつ六十路あまりになりにけらしも
良寛歌集 (Kashu) | ||