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良寛歌集 (Kashu) | ||
○
しろしめす民があしくば我れからと身をとがめてよ民があしくば
をちこちの縣司に物申すもとの心をゆめわすらすな
うちわたすつかさ/\にもの申すもとの心をわすらすなゆめ
いくそばくぞうつのみ手もて大神のにぎりましけんうつのみ手も
て
ひさがたの雲のはたてをうち見つつ昨日も今日も暮らしつるかも
我が心雲の上まで通ひなばいたらせ給へあまつ神ろぎ
鳴るかみの音もとどろにひさがたの雨は降り來で我が思ふとに
ひさがたの雲ふきはらへ天つ風うき世の民の心かよはば
かくばかりうき世と知らばおく山の草にも木にもならましものを
しばらくはここにとまらんひさがたの後には月の出でんと思へば
ぬば玉の今宵もここに宿りなん君がみことのいなみがたさに
うゑて見よ花のそだたぬ里もなし心からこそ身はいやしけれ
あひ待つと聞くもの故にうちつてに思はぬとひにまさるべらなり
いかにして誠の道にかなはんとひとへに思ふねてもさめても
いかにせば誠の道にかなはめとひとへに思へねてもさめても
如何にして誠の道にかなひなん千とせのうちにひと日なりとも
峰の雲谷の霞も立ち去りて春日に向ふ心地こそすれ
あまつたふ日は傾きぬ玉ぼこの家路は遠しふくろは重し
鉢の子を我が忘るれどとる人はなし取る人はなしその鉢の子を
鉢の子をわが忘るれど人とらずとる人はなしあはれ鉢の子
こと更にわきて賜はる山わさびいつか忘れん君が心を
をちかたゆしきりに貝の音すなり今宵の雨にせきくえなんか
さ夜中にほら吹く音の聞ゆるはをち方里に火やのぼるらん
もとどりにつつめる玉のひさにあるを今やおくらん其の時にかも
あらがねの土の中なる埋れ木の人にも知らでくち果つるかも
良寛歌集 (Kashu) | ||