University of Virginia Library

年のはてによみて有則におくる

野積のやみ寺の園の
梅の木を根こじにせんと
かぎろひの夕さり來れば
岩が根のこごしき道を
ふみ分けて辿り/\に
しぬびつつ垣根に立てば
人の見て盗人なりと
呼ばはればおのも/\に
しもととり鐘打ちならし
あしびきの山とよもして
集ひ來ぬしかしよりして
みな人に花盗人と
よばれたる君にはあれど
いつしかも年のへぬれば
篠原のしげきがを屋に
夜もすがら八つかの髯を
かい撫でておはすらんかも
此の月ごろは