University of Virginia Library

蒼溟

わたつみは常世にあれや
天つ日を天にめぐらし
露霜を國にへだてて
香ぐはしき花は咲けども
足らはしき月はみつれど
うな潮の色はかはらず
朝はふる風のまに/\
夕はふる波を廻らし
沖の浪八重に折りしき
立つ波を沖にめぐらし
よする波ゆたにたたへて
天地と愈遠長に
神ろぎのいまししものか
うまこりのあやにあるかも
わたつみの神