University of Virginia Library

あしびきの國上の山の
山もとにいほをしめつつ
朝夕に岩のかげ道
ふみわけていゆきかへらひ
山見れば山もみがほし
里みれば里も賑はし
春されば椿花さき
秋べには野べに妻こふ
さを鹿の聲をともしみ
あらたまの年の十とせは
過ぎにけるかも