万葉集 (Manyoshu) | ||
942
[題詞]過辛荷嶋時山部宿祢赤人作歌一首[并短歌]
[原文]味澤相 妹目不數見而 敷細乃 枕毛不巻 櫻皮纒 作流舟二 真梶貫 吾榜来者 淡
路乃 野嶋毛過 伊奈美嬬 辛荷乃嶋之 嶋際従 吾宅乎見者 青山乃 曽許十方不見 白雲
毛 千重尓成来沼 許伎多武流 浦乃盡 徃隠 嶋乃埼々 隈毛不置 憶曽吾来 客乃氣長弥
[訓読]あぢさはふ 妹が目離れて 敷栲の 枕もまかず 桜皮巻き 作れる船に 真楫貫き
我が漕ぎ来れば 淡路の 野島も過ぎ 印南嬬 辛荷の島の 島の際ゆ 我家を見れば 青
山の そことも見えず 白雲も 千重になり来ぬ 漕ぎ廻むる 浦のことごと 行き隠る
島の崎々 隈も置かず 思ひぞ我が来る 旅の日長み
[仮名],あぢさはふ,いもがめかれて,しきたへの,まくらもまかず,かにはまき,つくれる
ふねに,まかぢぬき,わがこぎくれば,あはぢの,のしまもすぎ,いなみつま,からにのしま
の,しまのまゆ,わぎへをみれば,あをやまの,そこともみえず,しらくもも,ちへになりき
ぬ,こぎたむる,うらのことごと,ゆきかくる,しまのさきざき,くまもおかず,おもひぞわ
がくる,たびのけながみ
万葉集 (Manyoshu) | ||