University of Virginia Library

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[題詞]慕振勇士之名歌一首[并短歌]

[原文]知智乃實乃 父能美許等 波播蘇葉乃 母能美己等 於保呂可尓 情盡而 念良牟 其子奈礼夜母 大夫夜 <无>奈之久可在 梓弓 須恵布理於許之 投矢毛知 千尋射和多之 劔刀 許思尓等理波伎 安之比奇能 八峯布美越 左之麻久流 情不障 後代乃 可多利都 具倍久 名乎多都倍志母
[訓読]ちちの実の 父の命 ははそ葉の 母の命 おほろかに 心尽して 思ふらむ その 子なれやも 大夫や 空しくあるべき 梓弓 末振り起し 投矢持ち 千尋射わたし 剣大 刀 腰に取り佩き あしひきの 八つ峰踏み越え さしまくる 心障らず 後の世の 語り継 ぐべく 名を立つべしも
[仮名],ちちのみの,ちちのみこと,ははそばの,ははのみこと,おほろかに,こころつくし て,おもふらむ,そのこなれやも,ますらをや,むなしくあるべき,あづさゆみ,すゑふりお こし,なげやもち,ちひろいわたし,つるぎたち,こしにとりはき,あしひきの,やつをふみ こえ,さしまくる,こころさやらず,のちのよの,かたりつぐべく,なをたつべしも
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[左注](右二首追和山上憶良臣作歌)
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[校異]無 → 无 [元][類]
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[KW],天平勝宝2年3月,年紀,作者:大伴家持,憶良,追和,枕詞,植物,儒教,高岡,富山