University of Virginia Library

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[題詞]

[原文]礒城嶋之 日本國尓 何方 御念食可 津礼毛無 城上宮尓 大殿乎 都可倍奉而 殿 隠 々座者 朝者 召而使 夕者 召而使 遣之 舎人之子等者 行鳥之 群而待 有雖待 不召 賜者 劔刀 磨之心乎 天雲尓 念散之 展轉 土打哭杼母 飽不足可聞
[訓読]礒城島の 大和の国に いかさまに 思ほしめせか つれもなき 城上の宮に 大殿 を 仕へまつりて 殿隠り 隠りいませば 朝には 召して使ひ 夕には 召して使ひ 使は しし 舎人の子らは 行く鳥の 群がりて待ち あり待てど 召したまはねば 剣大刀 磨 ぎし心を 天雲に 思ひはぶらし 臥いまろび ひづち哭けども 飽き足らぬかも
[仮名],しきしまの,やまとのくにに,いかさまに,おもほしめせか,つれもなき,きのへの みやに,おほとのを,つかへまつりて,とのごもり,こもりいませば,あしたには,めしてつ かひ,ゆふへには,めしてつかひ,つかはしし,とねりのこらは,ゆくとりの,むらがりてま ち,ありまてど,めしたまはねば,つるぎたち,とぎしこころを,あまくもに,おもひはぶら し,こいまろび,ひづちなけども,あきだらぬかも
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[左注]右一首
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・奈良,皇子挽歌,枕詞