万葉集 (Manyoshu) | ||
3314
[題詞]
[原文]次嶺經 山背道乎 人都末乃 馬従行尓 己夫之 歩従行者 毎見 哭耳之所泣 曽許
思尓 心之痛之 垂乳根乃 母之形見跡 吾持有 真十見鏡尓 蜻領巾 負並持而 馬替吾背
[訓読]つぎねふ 山背道を 人夫の 馬より行くに 己夫し 徒歩より行けば 見るごとに
音のみし泣かゆ そこ思ふに 心し痛し たらちねの 母が形見と 我が持てる まそみ
鏡に 蜻蛉領巾 負ひ並め持ちて 馬買へ我が背
[仮名],つぎねふ,やましろぢを,ひとづまの,うまよりゆくに,おのづまし,かちよりゆけ
ば,みるごとに,ねのみしなかゆ,そこおもふに,こころしいたし,たらちねの,ははがかた
みと,わがもてる,まそみかがみに,あきづひれ,おひなめもちて,うまかへわがせ
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