大物の船櫓は
うら波競ふ
猛將の忠臣
芳野の花櫓は
やま風競ふ
化性の孝心
押へて締めて馴れさする、身の代の早鮨は、主從の縁に引かるゝ、内や床しき惡 者の底意は、あふむ返しの下の句は勇者の返禮、威勢輝やく高提灯、照らして歸る錦 の陣羽織
締めつ緩めつ猶豫の調べ、血筋は親子の縁に引かるゝ鼓の愛着、音や床しき化性 の正體、恩返しの賜物と、賢者の添へたる名を、照らしたる狐火は、古栖へかへる狐 の白羽織