University of Virginia Library

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[題詞]神龜二年乙丑夏五月幸于芳野離宮時笠朝臣金村作歌一首[并短歌]

[原文]足引之 御山毛清 落多藝都 芳野<河>之 河瀬乃 浄乎見者 上邊者 千鳥數鳴 下 邊者 河津都麻喚 百礒城乃 大宮人毛 越乞尓 思自仁思有者 毎見 文丹乏 玉葛 絶事 無 萬代尓 如是霜願跡 天地之 神乎曽祷 恐有等毛
[訓読]あしひきの み山もさやに 落ちたぎつ 吉野の川の 川の瀬の 清きを見れば 上 辺には 千鳥しば鳴く 下辺には かはづ妻呼ぶ ももしきの 大宮人も をちこちに 繁 にしあれば 見るごとに あやに乏しみ 玉葛 絶ゆることなく 万代に かくしもがもと 天地の 神をぞ祈る 畏くあれども
[仮名],あしひきの,みやまもさやに,おちたぎつ,よしののかはの,かはのせの,きよきを みれば,かみへには,ちどりしばなく,しもべには,かはづつまよぶ,ももしきの,おほみや ひとも,をちこちに,しじにしあれば,みるごとに,あやにともしみ,たまかづら,たゆるこ となく,よろづよに,かくしもがもと,あめつちの,かみをぞいのる,かしこくあれども
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[左注]
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[校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 川 → 河 [金][元][類]
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[KW],雑歌,作者:笠金村,吉野,行幸,宮廷讃美,神亀2年5月,年紀,枕詞,動物,地名