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[題詞]柿本朝臣人麻呂妻死之後泣血哀慟作歌二首[并短歌]
[原文]天飛也 軽路者 吾妹兒之 里尓思有者 懃 欲見騰 不已行者 入目乎多見 真根久
徃者 人應知見 狭根葛 後毛将相等 大船之 思憑而 玉蜻 磐垣淵之 隠耳 戀管在尓 度
日乃 晩去之如 照月乃 雲隠如 奥津藻之 名延之妹者 黄葉乃 過伊去等 玉梓之 使之
言者 梓弓 聲尓聞而 [一云 聲耳聞而] 将言為便 世武為便不知尓 聲耳乎 聞而有不得
者 吾戀 千重之一隔毛 遣悶流 情毛有八等 吾妹子之 不止出見之 軽市尓 吾立聞者
玉手次 畝火乃山尓 喧鳥之 音母不所聞 玉桙 道行人毛 獨谷 似之不去者 為便乎無見
妹之名喚而 袖曽振鶴 [一云 名耳聞而有不得者]
[訓読]天飛ぶや 軽の道は 我妹子が 里にしあれば ねもころに 見まく欲しけど やま
ず行かば 人目を多み 数多く行かば 人知りぬべみ さね葛 後も逢はむと 大船の 思
ひ頼みて 玉かぎる 岩垣淵の 隠りのみ 恋ひつつあるに 渡る日の 暮れぬるがごと
照る月の 雲隠るごと 沖つ藻の 靡きし妹は 黄葉の 過ぎて去にきと 玉梓の 使の言
へば 梓弓 音に聞きて [一云 音のみ聞きて] 言はむすべ 為むすべ知らに 音のみを
聞きてありえねば 我が恋ふる 千重の一重も 慰もる 心もありやと 我妹子が やまず
出で見し 軽の市に 我が立ち聞けば 玉たすき 畝傍の山に 鳴く鳥の 声も聞こえず
玉桙の 道行く人も ひとりだに 似てし行かねば すべをなみ 妹が名呼びて 袖ぞ振り
つる [一云 名のみを聞きてありえねば]
[仮名],あまとぶや,かるのみちは,わぎもこが,さとにしあれば,ねもころに,みまくほし
けど,やまずゆかば,ひとめをおほみ,まねくゆかば,ひとしりぬべみ,さねかづら,のちも
あはむと,おほぶねの,おもひたのみて,たまかぎる,いはかきふちの,こもりのみ,こひつ
つあるに,わたるひの,くれぬるがごと,てるつきの,くもがくるごと,おきつもの,なびき
しいもは,もみちばの,すぎていにきと,たまづさの,つかひのいへば,あづさゆみ,おとに
ききて,[おとのみききて],いはむすべ,せむすべしらに,おとのみを,ききてありえねば,あ
がこふる,ちへのひとへも,なぐさもる,こころもありやと,わぎもこが,やまずいでみし
,かるのいちに,わがたちきけば,たまたすき,うねびのやまに,なくとりの,こゑもきこえ
ず,たまほこの,みちゆくひとも,ひとりだに,にてしゆかねば,すべをなみ,いもがなよび
て,そでぞふりつる,[なのみをききてありえねば]
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[KW],挽歌,作者:柿本人麻呂,妻,隠り妻,亡妻挽歌,枕詞