University of Virginia Library

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[題詞]詠山振花歌一首[并短歌]

[原文]宇都世美波 戀乎繁美登 春麻氣C 念繁波 引攀而 折毛不折毛 毎見 情奈疑牟 等 繁山之 谿敝尓生流 山振乎 屋戸尓引殖而 朝露尓 仁保敝流花乎 毎見 念者不止 戀 志繁母
[訓読]うつせみは 恋を繁みと 春まけて 思ひ繁けば 引き攀ぢて 折りも折らずも 見 るごとに 心なぎむと 茂山の 谷辺に生ふる 山吹を 宿に引き植ゑて 朝露に にほへ る花を 見るごとに 思ひはやまず 恋し繁しも
[仮名],うつせみは,こひをしげみと,はるまけて,おもひしげけば,ひきよぢて,をりもを らずも,みるごとに,こころなぎむと,しげやまの,たにへにおふる,やまぶきを,やどにひ きうゑて,あさつゆに,にほへるはなを,みるごとに,おもひはやまず,こひししげしも
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[左注]
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[校異]殖 [元][類][細] 植
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[KW],天平勝宝2年4月5日,年紀,作者:大伴家持,植物,恋情,高岡,富山