万葉集 (Manyoshu) | ||
3985
[題詞]二上山賦一首 [此山者有射水郡也]
[原文]伊美都河泊 伊由伎米具礼流 多麻久之氣 布多我美山者 波流波奈乃 佐家流左
加利尓 安吉<能>葉乃 尓保敝流等伎尓 出立C 布里佐氣見礼婆 可牟加良夜 曽許婆多
敷刀伎 夜麻可良夜 見我保之加良武 須賣可未能 須蘇未乃夜麻能 之夫多尓能 佐吉乃
安里蘇尓 阿佐奈藝尓 餘須流之良奈美 由敷奈藝尓 美知久流之保能 伊夜麻之尓 多由
流許登奈久 伊尓之敝由 伊麻乃乎都豆尓 可久之許曽 見流比登其等尓 加氣C之努波
米
[訓読]射水川 い行き廻れる 玉櫛笥 二上山は 春花の 咲ける盛りに 秋の葉の にほ
へる時に 出で立ちて 振り放け見れば 神からや そこば貴き 山からや 見が欲しから
む 統め神の 裾廻の山の 渋谿の 崎の荒礒に 朝なぎに 寄する白波 夕なぎに 満ち来
る潮の いや増しに 絶ゆることなく いにしへゆ 今のをつつに かくしこそ 見る人ご
とに 懸けて偲はめ
[仮名],いみづがは,いゆきめぐれる,たまくしげ,ふたがみやまは,はるはなの,さけるさ
かりに,あきのはの,にほへるときに,いでたちて,ふりさけみれば,かむからや,そこばた
ふとき,やまからや,みがほしからむ,すめかみの,すそみのやまの,しぶたにの,さきのあ
りそに,あさなぎに,よするしらなみ,ゆふなぎに,みちくるしほの,いやましに,たゆるこ
となく,いにしへゆ,いまのをつつに,かくしこそ,みるひとごとに,かけてしのはめ
万葉集 (Manyoshu) | ||