University of Virginia Library

3985

[題詞]二上山賦一首 [此山者有射水郡也]

[原文]伊美都河泊 伊由伎米具礼流 多麻久之氣 布多我美山者 波流波奈乃 佐家流左 加利尓 安吉<能>葉乃 尓保敝流等伎尓 出立C 布里佐氣見礼婆 可牟加良夜 曽許婆多 敷刀伎 夜麻可良夜 見我保之加良武 須賣可未能 須蘇未乃夜麻能 之夫多尓能 佐吉乃 安里蘇尓 阿佐奈藝尓 餘須流之良奈美 由敷奈藝尓 美知久流之保能 伊夜麻之尓 多由 流許登奈久 伊尓之敝由 伊麻乃乎都豆尓 可久之許曽 見流比登其等尓 加氣C之努波 米
[訓読]射水川 い行き廻れる 玉櫛笥 二上山は 春花の 咲ける盛りに 秋の葉の にほ へる時に 出で立ちて 振り放け見れば 神からや そこば貴き 山からや 見が欲しから む 統め神の 裾廻の山の 渋谿の 崎の荒礒に 朝なぎに 寄する白波 夕なぎに 満ち来 る潮の いや増しに 絶ゆることなく いにしへゆ 今のをつつに かくしこそ 見る人ご とに 懸けて偲はめ
[仮名],いみづがは,いゆきめぐれる,たまくしげ,ふたがみやまは,はるはなの,さけるさ かりに,あきのはの,にほへるときに,いでたちて,ふりさけみれば,かむからや,そこばた ふとき,やまからや,みがほしからむ,すめかみの,すそみのやまの,しぶたにの,さきのあ りそに,あさなぎに,よするしらなみ,ゆふなぎに,みちくるしほの,いやましに,たゆるこ となく,いにしへゆ,いまのをつつに,かくしこそ,みるひとごとに,かけてしのはめ
[_]
[左注](右三月卅日依興作之 大伴宿祢家持)
[_]
[校異]泊 [元] 伯 / 乃 → 能 [元][類]
[_]
[KW],天平19年3月30日,年紀,作者:大伴家持,地名,高岡,富山,山讃美,寿歌,枕詞 ,依興,儀礼歌,土地讃美