University of Virginia Library

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[題詞]

[原文]百不足 山田道乎 浪雲乃 愛妻跡 不語 別之来者 速川之 徃<文>不知 衣袂笶 反裳不知 馬自物 立而爪衝 為須部乃 田付乎白粉 物部乃 八十乃心S 天地二 念足橋 玉相者 君来益八跡 吾嗟 八尺之嗟 玉<桙>乃 道来人乃 立留 何常問者 答遣 田付乎 不知 散釣相 君名日者 色出 人<可>知 足日木能 山従出 月待跡 人者云而 君待吾乎
[訓読]百足らず 山田の道を 波雲の 愛し妻と 語らはず 別れし来れば 早川の 行き も知らず 衣手の 帰りも知らず 馬じもの 立ちてつまづき 為むすべの たづきを知ら に もののふの 八十の心を 天地に 思ひ足らはし 魂合はば 君来ますやと 我が嘆く 八尺の嘆き 玉桙の 道来る人の 立ち留まり いかにと問はば 答へ遣る たづきを知ら に さ丹つらふ 君が名言はば 色に出でて 人知りぬべみ あしひきの 山より出づる 月 待つと 人には言ひて 君待つ我れを
[仮名],ももたらず,やまたのみちを,なみくもの,うつくしづまと,かたらはず,わかれし くれば,はやかはの,ゆきもしらず,ころもでの,かへりもしらず,うまじもの,たちてつま づき,せむすべの,たづきをしらに,もののふの,やそのこころを,あめつちに,おもひたら はし,たまあはば,きみきますやと,わがなげく,やさかのなげき,たまほこの,みちくるひ との,たちとまり,いかにととはば,こたへやる,たづきをしらに,さにつらふ,きみがない はば,いろにいでて,ひとしりぬべみ,あしひきの,やまよりいづる,つきまつと,ひとには いひて,きみまつわれを
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[左注](右二首)
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[西(訂正)][元][天][類] / 杵 → 桙 [天][類][温] / 不 → 可 [類][紀][温]
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地名,桜井,奈良,女歌,歌劇