万葉集 (Manyoshu) | ||
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[題詞]
[原文]蜻嶋 倭之國者 神柄跡 言擧不為國 雖然 吾者事上為 天地之 神<文>甚 吾念
心不知哉 徃影乃 月<文>經徃者 玉限 日<文>累 念戸鴨 胸不安 戀烈鴨 心痛 末逐尓
君丹不會者 吾命乃 生極 戀乍<文> 吾者将度 犬馬鏡 正目君乎 相見天者社 吾戀八鬼
目
[訓読]蜻蛉島 大和の国は 神からと 言挙げせぬ国 しかれども 我れは言挙げす 天地
の 神もはなはだ 我が思ふ 心知らずや 行く影の 月も経ゆけば 玉かぎる 日も重な
りて 思へかも 胸の苦しき 恋ふれかも 心の痛き 末つひに 君に逢はずは 我が命の
生けらむ極み 恋ひつつも 我れは渡らむ まそ鏡 直目に君を 相見てばこそ 我が恋や
まめ
[仮名],あきづしま,やまとのくには,かむからと,ことあげせぬくに,しかれども,われは
ことあげす,あめつちの,かみもはなはだ,わがおもふ,こころしらずや,ゆくかげの,つき
もへゆけば,たまかぎる,ひもかさなりて,おもへかも,むねのくるしき,こふれかも,ここ
ろのいたき,すゑつひに,きみにあはずは,わがいのちの,いけらむきはみ,こひつつも,わ
れはわたらむ,まそかがみ,ただめにきみを,あひみてばこそ,あがこひやまめ
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