万葉集 (Manyoshu) | ||
譬喩歌
3429
[題詞]譬喩歌
[原文]等保都安布美 伊奈佐保曽江乃 水乎都久思 安礼乎多能米弖 安佐麻之物能乎
[訓読]遠江引佐細江のみをつくし我れを頼めてあさましものを
[仮名],とほつあふみ,いなさほそえの,みをつくし,あれをたのめて,あさましものを
3430
[題詞]
[原文]斯太能宇良乎 阿佐許求布祢波 与志奈之尓 許求良米可母与 <余>志許佐流良米
[訓読]志太の浦を朝漕ぐ船はよしなしに漕ぐらめかもよよしこさるらめ
[仮名],しだのうらを,あさこぐふねは,よしなしに,こぐらめかもよ,よしこさるらめ
3431
[題詞]
[原文]阿之我里乃 安伎奈乃夜麻尓 比古布祢乃 斯利比可志母與 許己波故賀多尓
[訓読]足柄の安伎奈の山に引こ船の後引かしもよここばこがたに
[仮名],あしがりの,あきなのやまに,ひこふねの,しりひかしもよ,ここばこがたに
3432
[題詞]
[原文]阿之賀利乃 和乎可鶏夜麻能 可頭乃木能 和乎可豆佐祢母 可豆佐可受等母
[訓読]足柄のわを可鶏山のかづの木の我をかづさねも門さかずとも
[仮名],あしがりの,わをかけやまの,かづのきの,わをかづさねも,かづさかずとも
3433
[題詞]
[原文]多伎木許流 可麻久良夜麻能 許太流木乎 麻都等奈我伊波婆 古非都追夜安良牟
[訓読]薪伐る鎌倉山の木垂る木を松と汝が言はば恋ひつつやあらむ
[仮名],たきぎこる,かまくらやまの,こだるきを,まつとながいはば,こひつつやあらむ
3434
[題詞]
[原文]可美都家野 安蘇夜麻都豆良 野乎比呂美 波比尓思物能乎 安是加多延世武
[訓読]上つ毛野阿蘇山つづら野を広み延ひにしものをあぜか絶えせむ
[仮名],かみつけの,あそやまつづら,のをひろみ,はひにしものを,あぜかたえせむ
3435
[題詞]
[原文]伊可保呂乃 蘇比乃波里波良 和我吉奴尓 都伎与良之母与 比多敝登於毛敝婆
[訓読]伊香保ろの沿ひの榛原我が衣に着きよらしもよひたへと思へば
[仮名],いかほろの,そひのはりはら,わがきぬに,つきよらしもよ,ひたへとおもへば
3436
[題詞]
[原文]志良登保布 乎尓比多夜麻乃 毛流夜麻乃 宇良賀礼勢奈<那> 登許波尓毛我母
[訓読]しらとほふ小新田山の守る山のうら枯れせなな常葉にもがも
[仮名],しらとほふ,をにひたやまの,もるやまの,うらがれせなな,とこはにもがも
3437
[題詞]
[原文]美知乃久能 安太多良末由美 波自伎於伎弖 西良思馬伎那婆 都良波可馬可毛
[訓読]陸奥の安達太良真弓はじき置きて反らしめきなば弦はかめかも
[仮名],みちのくの,あだたらまゆみ,はじきおきて,せらしめきなば,つらはかめかも
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