万葉集 (Manyoshu) | ||
東歌
3348
[題詞]東歌
[原文]奈都素妣久 宇奈加美我多能 於伎都渚尓 布袮波等<杼>米牟 佐欲布氣尓家里
[訓読]夏麻引く海上潟の沖つ洲に船は留めむさ夜更けにけり
[仮名],なつそびく,うなかみがたの,おきつすに,ふねはとどめむ,さよふけにけり
3349
[題詞]
[原文]可豆思加乃 麻萬能宇良<未>乎 許具布祢能 布奈妣等佐和久 奈美多都良思母
[訓読]葛飾の真間の浦廻を漕ぐ船の船人騒く波立つらしも
[仮名],かづしかの,ままのうらみを,こぐふねの,ふなびとさわく,なみたつらしも
3350
[題詞]
[原文]筑波祢乃 尓比具波麻欲能 伎奴波安礼杼 伎美我美家思志 安夜尓伎保思母
[訓読]筑波嶺の新桑繭の衣はあれど君が御衣しあやに着欲しも
[仮名],つくはねの,にひぐはまよの,きぬはあれど,きみがみけしし,あやにきほしも
3350S
[題詞]或本歌曰 又云
[原文]多良知祢能 安麻多伎保思母
[訓読]たらちねの あまた着欲しも
[仮名]たらちねの,あまたきほしも
3351
[題詞]
[原文]筑波祢尓 由伎可母布良留 伊奈乎可母 加奈思吉兒呂我 尓努保佐流可母
[訓読]筑波嶺に雪かも降らるいなをかも愛しき子ろが布乾さるかも
[仮名],つくはねに,ゆきかもふらる,いなをかも,かなしきころが,にのほさるかも
3352
[題詞]
[原文]信濃奈流 須我能安良能尓 保登等藝須 奈久許恵伎氣<婆> 登伎須疑尓家里
[訓読]信濃なる須我の荒野に霍公鳥鳴く声聞けば時過ぎにけり
[仮名],しなぬなる,すがのあらのに,ほととぎす,なくこゑきけば,ときすぎにけり
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