University of Virginia Library

 表のカタリは「五大力戀緘」初演の時の番附から取つたものである。この時にはまだ、二番目が別名題にならず、「江戸砂子慶曾我」の一本名題の中に包含されてゐたのでカタリも曾我狂言と共通になつてゐる。

 下掲の寫眞は、大正八年十月、帝國劇場でこの狂言を演じた時の寫眞で、この時は宗十郎がお家の源五兵衞に扮し、幸四郎の三五兵衞、故宗之助の小万といふ役割であつた。

 大詰、花屋の場へ插入した錦繪は、宗十郎が再演の折ので、いかにも面白く描けてゐる。また中木場の場へ入れたのは、宗十郎の子の源之助が、初役で扮した時の發行である。筆者は共に初代歌川豐國。