万葉集 (Manyoshu) | ||
1753
[題詞]検税使大伴卿登筑波山時歌一首[并短歌]
[原文]衣手 常陸國 二並 筑波乃山乎 欲見 君来座登 熱尓 汗可伎奈氣 木根取 嘯鳴
登 <峯>上乎 <公>尓令見者 男神毛 許賜 女神毛 千羽日給而 時登無 雲居雨零
筑波嶺
乎 清照 言借石 國之真保良乎 委曲尓 示賜者 歡登 紐之緒解而 家如 解而曽遊 打靡
春見麻之従者 夏草之 茂者雖在 今日之樂者
[訓読]衣手 常陸の国の 二並ぶ 筑波の山を 見まく欲り 君来ませりと 暑けくに 汗
かき嘆げ 木の根取り うそぶき登り 峰の上を 君に見すれば 男神も 許したまひ 女
神も ちはひたまひて 時となく 雲居雨降る 筑波嶺を さやに照らして いふかりし
国のまほらを つばらかに 示したまへば 嬉しみと 紐の緒解きて 家のごと 解けてぞ
遊ぶ うち靡く 春見ましゆは 夏草の 茂くはあれど 今日の楽しさ
[仮名],ころもで,ひたちのくにの,ふたならぶ,つくはのやまを,みまくほり,きみきませ
りと,あつけくに,あせかきなげ,このねとり,うそぶきのぼり,をのうへを,きみにみすれ
ば,をかみも,ゆるしたまひ,めかみも,ちはひたまひて,ときとなく,くもゐあめふる,つく
はねを,さやにてらして,いふかりし,くにのまほらを,つばらかに,しめしたまへば,うれ
しみと,ひものをときて,いへのごと,とけてぞあそぶ,うちなびく,はるみましゆは,なつ
くさの,しげくはあれど,けふのたのしさ
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