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[題詞]哀世間難住歌一首[并序] / 易集難排八大辛苦 難遂易盡百年賞樂
古人所歎今亦
及之 所以因作一章之歌 以撥二毛之歎 其歌曰
[原文]世間能 周弊奈伎物能波 年月波 奈何流々其等斯 等利都々伎 意比久留<母>能
波 毛々久佐尓 勢米余利伎多流 遠等n良何 遠等n佐備周等 可羅多麻乎 多母等尓麻
可志 [或有此句云 之路多倍乃 袖布利可伴之 久礼奈為乃 阿可毛須蘇i伎] 余知古良
等 手多豆佐波利提 阿蘇比家武 等伎能佐迦利乎 等々尾迦祢 周具斯野利都礼 美奈乃
和多 迦具漏伎可美尓 伊都乃麻可 斯毛乃布利家武 久礼奈為能 [一云 尓能保奈須] 意
母提乃宇倍尓 伊豆久由可 斯和何伎多利斯 [一云 都祢奈利之 恵麻比麻欲i伎 散久
伴奈能 宇都呂比<尓>家利 余乃奈可伴 可久乃未奈良之] 麻周羅遠乃 遠刀古佐備周等
都流伎多智 許志尓刀利波枳 佐都由美乎 多尓伎利物知提 阿迦胡麻尓 志都久良宇知
意伎 波比能利提 阿蘇比阿留伎斯 余乃奈迦野 都祢尓阿利家留 遠等n良何 佐那周伊
多斗乎 意斯比良伎 伊多度利与利提 麻<多麻>提乃 多麻提佐斯迦閇 佐祢斯欲能 伊久
陀母阿羅祢婆 多都可豆<恵> 許志尓多何祢提 可由既婆 比等尓伊等波延 可久由既婆
比等尓邇久<麻>延 意余斯遠波 迦久能尾奈良志 多麻枳<波>流 伊能知遠志家騰 世武
周弊母奈新
[訓読]世間の すべなきものは 年月は 流るるごとし とり続き 追ひ来るものは 百種
に 迫め寄り来る 娘子らが 娘子さびすと 唐玉を 手本に巻かし [白妙の 袖振り交は
し 紅の 赤裳裾引き] よち子らと 手携はりて 遊びけむ 時の盛りを 留みかね 過ぐ
しやりつれ 蜷の腸 か黒き髪に いつの間か 霜の降りけむ 紅の [丹のほなす] 面の上
に いづくゆか 皺が来りし [常なりし 笑まひ眉引き 咲く花の 移ろひにけり 世間は
かくのみならし] ますらをの 男さびすと 剣太刀 腰に取り佩き さつ弓を 手握り持
ちて 赤駒に 倭文鞍うち置き 這ひ乗りて 遊び歩きし 世間や 常にありける 娘子ら
が さ寝す板戸を 押し開き い辿り寄りて 真玉手の 玉手さし交へ さ寝し夜の いく
だもあらねば 手束杖 腰にたがねて か行けば 人に厭はえ かく行けば 人に憎まえ
老よし男は かくのみならし たまきはる 命惜しけど 為むすべもなし
[仮名],よのなかの,すべなきものは,としつきは,ながるるごとし,とりつつき,おひくる
ものは,ももくさに,せめよりきたる,をとめらが,をとめさびすと,からたまを,たもとに
まかし,[しろたへの,そでふりかはし,くれなゐの,あかもすそひき],よちこらと,てたづさ
はりて,あそびけむ,ときのさかりを,とどみかね,すぐしやりつれ,みなのわた,かぐろき
かみに,いつのまか,しものふりけむ,くれなゐの,[にのほなす],おもてのうへに,いづくゆ
か,しわがきたりし,[つねなりし,ゑまひまよびき,さくはなの,うつろひにけり,よのなか
は,かくのみならし],ますらをの,をとこさびすと,つるぎたち,こしにとりはき,さつゆみ
を,たにぎりもちて,あかごまに,しつくらうちおき,はひのりて,あそびあるきし,よのな
かや,つねにありける,をとめらが,さなすいたとを,おしひらき,いたどりよりて,またま
での,たまでさしかへ,さねしよの,いくだもあらねば,たつかづゑ,こしにたがねて,かゆ
けば,ひとにいとはえ,かくゆけば,ひとににくまえ,およしをは,かくのみならし,たまき
はる,いのちをしけど,せむすべもなし
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[左注](神龜五年七月廿一日於嘉摩郡撰定 筑前國守山上憶良)
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[校異]歌 [西] 謌 [西(訂正)] 歌 / 歌 [西] 謌 / <> → 母 [西(右書)][紀][細] / <>
→ 尓
[西(右書)][紀][細] / <> → 多麻 [西(右書)][細][温] / 慧 → 恵 [紀][細] / 可
[_]
[西(右書)
][矢][京] 可久 / <> → 麻 [西(右書)][紀][細] / 麻 [紀][細](塙) 摩 / 婆 → 波
[細][温]
[KW],作者:山上憶良,仏教,無常,福岡,神亀5年7月21日,年紀,地名