University of Virginia Library

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[題詞]同石田王卒之時山前王哀傷作歌一首

[原文]角障經 石村之道乎 朝不離 将歸人乃 念乍 通計萬<口>波 霍公鳥 鳴五月者 菖 蒲 花橘乎 玉尓貫 [一云 貫交] 蘰尓将為登 九月能 四具礼能時者 黄葉乎 折挿頭跡 延葛乃 弥遠永 [一云 田葛根乃 弥遠長尓] 萬世尓 不絶等念而 [一云 大舟之 念憑而] 将通 君乎婆明日従 [一云 君乎従明日<者>] 外尓可聞見牟
[訓読]つのさはふ 磐余の道を 朝さらず 行きけむ人の 思ひつつ 通ひけまくは 霍公 鳥 鳴く五月には あやめぐさ 花橘を 玉に貫き [一云 貫き交へ] かづらにせむと 九 月の しぐれの時は 黄葉を 折りかざさむと 延ふ葛の いや遠長く [一云 葛の根の いや遠長に] 万代に 絶えじと思ひて [一云 大船の 思ひたのみて] 通ひけむ 君をば 明日ゆ [一云 君を明日ゆは] 外にかも見む
[仮名],つのさはふ,いはれのみちを,あささらず,ゆきけむひとの,おもひつつ,かよひけ まくは,ほととぎす,なくさつきには,あやめぐさ,はなたちばなを,たまにぬき,[ぬきまじ へ],かづらにせむと,ながつきの,しぐれのときは,もみちばを,をりかざさむと,はふくず の,いやとほながく,[くずのねの,いやとほながに],よろづよに,たえじとおもひて,[おほ ぶねの,おもひたのみて],かよひけむ,きみをばあすゆ,[きみをあすゆは],よそにかもみむ
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[左注]右一首或云柿本朝臣人麻呂作
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[校異]歌 [西] 謌 / 石 → 口 [類][古] / 香 → 者 [類][古][紀]
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[KW],挽歌,石田王,作者:山前王:柿本人麻呂,異伝,枕詞,桜井,地名,代作