University of Virginia Library

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[題詞]潜鵜歌一首[并短歌]

[原文]荒玉能 年徃更 春去者 花耳尓保布 安之比奇能 山下響 墜多藝知 流辟田乃 河 瀬尓 年魚兒狭走 嶋津鳥 鵜養等母奈倍 可我理左之 奈頭佐比由氣<婆> 吾妹子我 可 多見我C良等 紅之 八塩尓染而 於己勢多流 服之襴毛 等寳利C濃礼奴
[訓読]あらたまの 年行きかはり 春されば 花のみにほふ あしひきの 山下響み 落ち 激ち 流る辟田の 川の瀬に 鮎子さ走る 島つ鳥 鵜養伴なへ 篝さし なづさひ行けば 我妹子が 形見がてらと 紅の 八しほに染めて おこせたる 衣の裾も 通りて濡れぬ
[仮名],あらたまの,としゆきかはり,はるされば,はなのみにほふ,あしひきの,やました とよみ,おちたぎち,ながるさきたの,かはのせに,あゆこさばしる,しまつとり,うかひと もなへ,かがりさし,なづさひゆけば,わぎもこが,かたみがてらと,くれなゐの,やしほに そめて,おこせたる,ころものすそも,とほりてぬれぬ
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[左注]
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[校異]歌 [西][細] 謌 / 波 → 婆 [元][類]
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[KW],天平勝宝2年3月8日,年紀,作者:大伴家持,動物,地名,能登,富山,鵜飼い