4125
[題詞]七夕歌一首[并短歌]
[原文]安麻泥良須 可未能御代欲里 夜洲能河波 奈加尓敝太弖々 牟可比太知 蘇泥布
利可波之 伊吉能乎尓 奈氣加須古良 和多里母理 布祢毛麻宇氣受 波之太尓母 和多之
弖安良波 曽<乃>倍由母 伊由伎和多良之 多豆佐波利 宇奈我既里為弖 於<毛>保之吉
許登母加多良比 <奈>具左牟流 許己呂波安良牟乎 奈尓之可母 安吉尓之安良祢波 許
等騰比能 等毛之伎古良 宇都世美能 代人和礼<毛> 許己<乎>之母 安夜尓久須之弥 徃
更 年<乃>波其登尓 安麻<乃>波良 布里左氣見都追 伊比都藝尓須礼
[訓読]天照らす 神の御代より 安の川 中に隔てて 向ひ立ち 袖振り交し 息の緒に
嘆かす子ら 渡り守 舟も設けず 橋だにも 渡してあらば その上ゆも い行き渡らし
携はり うながけり居て 思ほしき 言も語らひ 慰むる 心はあらむを 何しかも 秋にし
あらねば 言どひの 乏しき子ら うつせみの 世の人我れも ここをしも あやにくすし
み 行きかはる 年のはごとに 天の原 振り放け見つつ 言ひ継ぎにすれ
[仮名],あまでらす,かみのみよより,やすのかは,なかにへだてて,むかひたち,そでふり
かはし,いきのをに,なげかすこら,わたりもり,ふねもまうけず,はしだにも,わたしてあ
らば,そのへゆも,いゆきわたらし,たづさはり,うながけりゐて,おもほしき,こともかた
らひ,なぐさむる,こころはあらむを,なにしかも,あきにしあらねば,ことどひの,ともし
きこら,うつせみの,よのひとわれも,ここをしも,あやにくすしみ,ゆきかはる,としのは
ごとに,あまのはら,ふりさけみつつ,いひつぎにすれ
[_]
[左注](右七月七日仰見天漢大伴宿祢家持作)
[_]
[校異]歌 [西] 謌 / 能 → 乃 [元][類] / 母 → 毛 [元][類] / 那 → 奈 [元][類] / 母 →
毛 [元][類
] / 宇 → 乎 [代匠記精撰本] / 能 → 乃 [元][類]
[_]
[KW],天平感宝1年7月7日,作者:大伴家持,年紀,七夕,寿歌,高岡,富山