University of Virginia Library

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[題詞]立山賦一首[并短歌] [此山者有新<川>郡也]

[原文]安麻射可流 比奈尓名可加須 古思能奈可 久奴知許登其等 夜麻波之母 之自尓 安礼登毛 加波々之母 佐波尓由氣等毛 須賣加未能 宇之波伎伊麻須 尓比可波能 曽能 多知夜麻尓 等許奈都尓 由伎布理之伎弖 於<婆>勢流 可多加比河波能 伎欲吉瀬尓 安 佐欲比其等尓 多都奇利能 於毛比須疑米夜 安里我欲比 伊夜登之能播仁 余<増>能未 母 布利佐氣見都々 余呂豆餘能 可多良比具佐等 伊末太見奴 比等尓母都氣牟 於登能 未毛 名能未<母>伎吉C 登母之夫流我祢
[訓読]天離る 鄙に名懸かす 越の中 国内ことごと 山はしも しじにあれども 川はし も 多に行けども 統め神の 領きいます 新川の その立山に 常夏に 雪降り敷きて 帯 ばせる 片貝川の 清き瀬に 朝夕ごとに 立つ霧の 思ひ過ぎめや あり通ひ いや年のは に よそのみも 振り放け見つつ 万代の 語らひぐさと いまだ見ぬ 人にも告げむ 音 のみも 名のみも聞きて 羨しぶるがね
[仮名],あまざかる,ひなになかかす,こしのなか,くぬちことごと,やまはしも,しじにあ れども,かははしも,さはにゆけども,すめかみの,うしはきいます,にひかはの,そのたち やまに,とこなつに,ゆきふりしきて,おばせる,かたかひがはの,きよきせに,あさよひご とに,たつきりの,おもひすぎめや,ありがよひ,いやとしのはに,よそのみも,ふりさけみ つつ,よろづよの,かたらひぐさと,いまだみぬ,ひとにもつげむ,おとのみも,なのみもき きて,ともしぶるがね
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[左注](四月廿七日大伴宿祢家持作之)
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[校異]歌 [西] 謌 / 山 [元][類][紀][温] 立山 / 河 → 川 [元][細][温] / 波 → 婆 [元][類][紀] / 曽 → 増 [元][細][温] / 毛 → 母 [元][類][細]
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[KW],天平19年4月27日,年紀,作者:大伴家持,地名,富山,山讃美,寿歌,儀礼歌,序 詞,枕詞,国見,土地讃美