University of Virginia Library

3274

[題詞]

[原文]為須部乃 田付S不知 石根乃 興凝敷道乎 石床笶 根延門S 朝庭 出居而嘆 夕 庭 入居而思 白桍乃 吾衣袖S 折反 獨之寐者 野干玉 黒髪布而 人寐 味眠不睡而 大 舟乃 徃良行羅二 思乍 吾睡夜等呼 <讀文>将敢鴨
[訓読]為むすべの たづきを知らに 岩が根の こごしき道を 岩床の 根延へる門を 朝 には 出で居て嘆き 夕には 入り居て偲ひ 白栲の 我が衣手を 折り返し ひとりし寝 れば ぬばたまの 黒髪敷きて 人の寝る 味寐は寝ずて 大船の ゆくらゆくらに 思ひ つつ 我が寝る夜らを 数みもあへむかも
[仮名],せむすべの,たづきをしらに,いはがねの,こごしきみちを,いはとこの,ねばへる かどを,あしたには,いでゐてなげき,ゆふへには,いりゐてしのひ,しろたへの,わがころ もでを,をりかへし,ひとりしぬれば,ぬばたまの,くろかみしきて,ひとのぬる,うまいは ねずて,おほぶねの,ゆくらゆくらに,おもひつつ,わがぬるよらを,よみもあへむかも
[_]
[左注](右二首)
[_]
文 [元][類]
[_]
孤独,枕詞