文化学院の設立について
与謝野晶子 (Bunkagakuin no setsuritsu ni tsuite) | ||
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将来私たちの文化学院から如何なる女子を出すであろうかといえば、中学部を卒業してそれで止めるにせよ、進んで大学部を卒業するにせよ、個人として、何かきっと、一つの創造的な長所を持っていて、功利的な打算を超えた、高い、清い、正しい境地において、自分みずからそれを楽むことが出来ます。その愛は芸術家的の愛です。人をも自然をも、自分の内に取入れて、我と一体として愛することが出来ます。これが真の人間性に 目覚 ( めざ ) めた人間というものです。それらの人間から、天分に由って、専門の文学者、画家、音楽家となる女子も出るでしょう。また専門の科学者となる女子も出るでしょう。また職業婦人として経済的に独立する女子、家庭に入って愛と聡明とに富んだ新時代の妻となり母となる女子も出るでしょう。また学界に、政界に、社会改造運動に、男子と並んで活動する女子も出るでしょう。また社会の視聴を一身に集めることなく、勤労に堪え、隣人のために計り、自然を楽んで穏健な一生を送るような女子も出るでしょう。
一つの個性に一つの新しい文化的な生活が順当に開展されて行くこと、これが私たちの希望です。
これ以上に狭く考えて、人間性の自由なる発動を予定したく思いません。
文化学院の設立について
与謝野晶子 (Bunkagakuin no setsuritsu ni tsuite) | ||