University of Virginia Library

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 私たちの学校の教育目的は、画一的に他から強要されることなしに、個人個人の創造能力を、本人の長所と希望とに従って、個別的に、みずから自由に発揮せしめる所にあります。これまでの教育は功利生活に偏していましたが、私たちは、功利生活以上の標準に由って教育したいと思います。即ち貨幣や職業の奴隷とならずに、自己が自己の主人となり、自己に適した活動に由って、少しでも新しい文化生活を人類の間に創造し寄与することの忍苦と享楽とに生きる人間を作りたいと思います。

 言い換れば、完全な個人を作ることが唯一の目的です。「完全な個人」とは平凡に平均した人間という意味でもなければ、万能に ひい でたという伝説的な天才の意味でもありません。人間は何事にせよ、自己に適した一能一芸に深く達してさえいれば宜しい。それで十分に意義ある人間の生活を建てることが出来ます。また一能一芸以上に適した素質の人が多方面に創造能力を示すことも勿論結構ですが、両者の間に人格者として優劣の差別があると思うのは俗解であって、各その可能を尽した以上、かれもこれも「完全な個人」として互に自ら安住することが出来るようでなければならないと思います。