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(Tsukubashu) | ||
みるめはなくて戀をするかな
と侍るに
あふみなるいかごの海のいかなれば
此句は保元の比、近江に在廳成りけるもの、國中にならびなき美女をあひぐしたりけるを、國司聞きて彼女を戀ひけるになげき申しければ、國司思ふ樣ありて、みるめはなくてといふ連歌をして箱に入れて封を付けて、此連歌を見ずして付けたらんに、こわとりかなひたらば、汝がなげき申す旨をゆるすべしと云ひけるに、此男此道の行衞を知らねば、おもふはかりなくて、石山寺にこもりてさまざま祈り申しけるに、七日過ぎて泣く泣く下向しける時、大門より一町ばかり行きて下女一人行き逢ひて此句を詠じける程に、佛の教にこそと思ひて、國司のもとへ行きて申しければ、ことわり叶ひたりとて、其女をゆるしてけり。是は觀音の御連歌となん申し傳へたる。
(Tsukubashu) | ||