建久五年夏の頃、安樂寺破損して侍りけれども、修造の沙汰なかりけるに、彼寺へ參りたる人の夢に、束帶したる人のけだかげにてのたまひける
その後また一人の所司通夜したりけるに、空に聲ありてのたまはせける
此の兩句宰府より奏聞し侍りければ、年頃は寺家の沙汰にて侍りけるを、はじめて公家より彼寺を造營せられ侍りけるとなん。