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ランタンの蔭

キングオブキングを十杯呑ませてくれたら
私は貴方に接吻を一ツ上げませう
おゝ哀れな給仕女
青い窓の外は雨のキリコダマ
さあ街も人間も××××も
ランタンの灯の下で
みんな酒になつてしまつた。
カクメイとは北方に吹く風か…
酒をぶちまけてしまつたんです
テーブルの酒の上に眞紅な口を開いて
火を吐いたのです。
青いエプロンで舞ひませうか
金婚式! それともキヤラバン……
今晩の舞踊曲は――
さあまだあと三杯
しつかりしてゐるかつて
えゝ大丈夫よ。
私はおりこうな人なのに
ほんとにおりこうな人なのに
私は私の氣持ちを
つまらない豚のやうな男達へ
をしげもなく切り花のやうに
ふりまいてゐるんです。
カクメイとは北方に吹く風か……