University of Virginia Library

方空子に申つかはす

御佛のなを尊さよけさの秋

手燭して能ふとん出す夜寒哉

盗人の屋根に消行夜寒かな

きり%\す自在をのぼる夜寒哉

巫女に狐戀する夜さむ哉

書綴る師の鼻赤き夜寒哉

貧僧の佛をきざむ夜寒哉

おとごぜのうは着めでたき夜寒かな

秋のくれ佛に化る狸かな

人は何に化るかもしらじ秋のくれ

訓讀の經をよすがや秋の暮

一人來て一人をとふや秋の暮

門を出て故人にあひぬ秋のくれ

燈ともせといひつゝ出るや秋のくれ

鳥さしの西へ過けり秋の暮

軒に寢る人追聲や夜半の秋

秋の夜や古き書よむ南良法師