蕪翁句集 巻之上
几菫著 (Haikushu [volume 1]) | ||
方空子に申つかはす
御佛のなを尊さよけさの秋
手燭して能ふとん出す夜寒哉
盗人の屋根に消行夜寒かな
きり%\す自在をのぼる夜寒哉
巫女に狐戀する夜さむ哉
書綴る師の鼻赤き夜寒哉
貧僧の佛をきざむ夜寒哉
おとごぜのうは着めでたき夜寒かな
秋のくれ佛に化る狸かな
人は何に化るかもしらじ秋のくれ
訓讀の經をよすがや秋の暮
一人來て一人をとふや秋の暮
門を出て故人にあひぬ秋のくれ
燈ともせといひつゝ出るや秋のくれ
鳥さしの西へ過けり秋の暮
軒に寢る人追聲や夜半の秋
秋の夜や古き書よむ南良法師
蕪翁句集 巻之上
几菫著 (Haikushu [volume 1]) | ||