University of Virginia Library

加久夜長帶刀はさうなき數寄もの也けり。古曾部の入道はじめてのげざんに、引出物見すべきとて、錦の小袋をさがしもとめける風流などおもひ出つゝ、すゞろ春色にたへず侍れば

山吹や井手を流るゝ

居りたる舟を上ればすみれ哉

骨拾ふ人にしたしき菫かな

わらび野やいざ物焚ん枯つゝじ

野とゝもに燒る地藏のしきみ哉

つゝじ野やあらぬ所に麥畠

つゝじ咲て石移したる嬉しさよ

近道へ出てうれし野ゝ躑躅哉

つゝじ咲て片山里の飯白し

岩に腰吾頼光のつゝじ哉