University of Virginia Library

秋の末に法輪にこもりて詠める

大井川ゐぜきによどむ水の色に秋ふかくなる程ぞ知らるゝ
小倉山ふもとにあきのいろはあれや梢のにしき風にたゝれて
わがものと秋の梢をおもふかなをぐらのさとに家居せしより
山ざとは秋の末にぞおもひ知るかなしかりけりこがらしの風
暮れ果つる秋の形見にしばし見む紅葉ちらすなこがらしの風
あきくるゝ月なみわかぬ山賤のこゝろうらやむけふの夕ぐれ