University of Virginia Library

訪ふ人もなき山里に庵してひとりながむる月ぞわりなき
山ずみのあはれを誰れに語らましまれにも人の來ても訪はねば
わびぬれど心はすめり草の庵その日/\を送るばかりに
わびぬれど我が庵なれば歸るなり心やすきを思ひ出にして
とぶ鳥も通はぬ山のおくにさへ住めば住まるるものにぞありける
あしびきの山たちかくす白雲は浮世をへだつ關にてこそあれ
あしびきの我がすむ山は近けれど心は遠くおもほゆるかな