University of Virginia Library

老いらくを誰がはじめけん教へてよいざなひ行きてうらみましも のを
惜めどもさかりは過ぎぬ待たなくにとめ來るものは老にぞあり ける
いとはねば何時かさかりは過ぎにけり待たぬに來るは老にぞあり ける
ちはやふる何の神を祈りなばけだしや老をはらはさんかも
おつつにもゆめにも人のまたなくにとひ來るものは老にぞありけ る
昔より常世の國はありと聞けど道を知らねば行くよしもなし
老いもせず死にせぬ國はありと聞けどたづねていなん道の知らな く
しげ山に我れ杣立てん老いらくの來んてふ道に關すゑんため
老の來る道のくま%\しめゆへばいきうしと言ひてけだし歸らん
今よりは野にも山にもまじりなん老のあゆみの行くにまかせて
白雪は降ればかつけぬしかはあれど頭にふれば消えずぞありける
白髮はおほやけものぞかしこしや人の頭もよくといはなくに
よにみつる寶といへど白髮にあに及ばめや千千の一つも
しらかみはよみの尊のつかひかもおほにな思ひそその白髮を