University of Virginia Library

人はいつはるとも僞はらじ爭ふとも爭はじ僞爭すてて常に心はの どかなれ
あはれさは人まつ蟲の音づれにふり出でて鳴く鈴蟲の野べの千草 の露にぬれてん
あしびきの國上の山の冬ごもり岩根もり來る苔水のかすかに世を すみ渡るなり
我が庵は國上山もと神無月しぐれの雨はひめもすに降りみふらず み乙宮の森
一つ松人にありせば笠かさましを簑きせましをひとつ松あはれ
おく山の春がねしぬぎふる雪のふるとはすれどつむとはなしに降 る雪の
ぬばだまの夜はすがらに糞まり明かしあからひく晝はかはやに走 りあへなくに
にひむろの新室の新室のほぎ酒に我れ醉ひにけりそのほぎ酒に
ふる里をはる%\へだてここに隅田川みやこ鳥にこととはん君は ありやなしやと
あづさ弓春の野にでて若菜つめどもさす竹の君しなければたのし くもなし
あづさ弓春の野にでて若菜つめどもさす竹の君とつまねばこにみ たなくに(由之の日記)