University of Virginia Library

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[1](一)太物 綿織物・麻織物の総称。絹織物を呉服というのに対する語。
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[2](二)祭文語り 法螺貝や短い錫杖などを伴奏として、ふしおもしろく歌祭文を唄って銭を乞うた職業の一種。歌祭文は、江戸時代に行われた俗曲で、もと山伏が諸国を遍歴しながら神仏霊験を唱えたものが、江戸時代になって世俗の出来事を面白おかしく唄うようになったもの。
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[3](三)テキヤ いかがわしい品物で客をあざむき、当れば(矢が的に当れば)利益を得る者。的屋。
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[4](四)連鎖劇 映画の途中に実演を、又は実演の幕間に映画を挾んで、それぞれの効果を併用してみせる演劇。
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[5](五)唐津物 唐津焼のこと。佐賀県唐津市及びその付近で製した陶磁器。
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[6](六)厚司 大阪地方で産する厚地の綿織物で作った仕事着・半纏。紺無地か大名縞。
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[7](七)秋江氏 近江秋江(1876〜1944)。小説家。本名は徳田浩司。岡山県の生まれ。男女間の愛欲を赤裸々に書いた自然主義作家。「別れた妻」「黒髪」など。
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[8](八)じんじんばしょり じじばしょり(爺端折)の擬音化した語。背縫の裾から二十四、五センチ上をつまんで、帯の結び目の下にはしょること。
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[9](九)クヌウト・ハムスン (Knut Hamsun,1859〜1952) ノルウェーの小説家。貧農兼仕立屋の子に生まれ、生活の辛酸をなめ、多年放浪生活を送る。帰国後、小説「飢え」を出すに及んで世界的となる。一九二○年ノーベル賞受賞。「土の成長」「放浪者」など。
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[10](一○)バンコ〔banco (スペイン) bank (オランダ)〕縁台。腰掛。
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[11](一一)青バス 戦前、主として東京の旧市内を走っていた民営の乗合自動車。ボデーを青く塗っていたのでそう呼んだ。
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[12](一二)地割り 地面の区画を整備すること。
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[13](一三)ササラ ささら竹。竹の先を割ってたばねたもの。
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[14](一四)牛太郎 遊女屋の客引き。妓夫太郎。
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[15](一五)浪人戦争 不詳だが、明治維新の際、官軍に抗して脱藩の浪士連が相ついで起こした挙兵をいうか。たとえば藤本鉄石等の大和五条の乱、平野国臣等の生野の乱、水戸藩有志の筑波の挙兵、上野彰義隊の戦争など。ここでは上野の戦争を指しているらしい。
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[16](一六)スチルネルの自我経 Max Stirner (1806〜56)はドイツの哲学者。「自我経」は「Der Einzige und sein Eigentum (1848)」で、「唯一者とその所有」が正しい訳名。「自我経」は辻潤が英訳から訳した書物の題名である。内容は極端な個人主義を説き、自我のみが唯一の実在で、家族・国家・社会も自我の前に消失するという無政府主義を主張したもの。
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[17](一七)静栄さん 友谷静栄。詩人、芙美子と詩の同人雑誌「二人」を刊行。現在慶応大学教授上田保夫人。
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[18](一八)辻さん 辻潤(1885〜1944)。評論家・随筆家。上野高等女学校に勤務中、教え子の伊藤野枝と恋愛事件をおこし退職。放浪の生活を送り、ダダイストとして知られた。「ですべら(大正十三年)」その他の著書がある。
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[19](一九)種まく人 大正十年創刊の小牧近江・金子洋文らによる無産派文学雑誌。同十二年廃刊。「文芸戦線」の前身。
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[20](二○)文芸戦線 プロレタリア芸術雑誌。大正十三年六月創刊。昭和七年七月廃刊。
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[21](二一)橋爪氏 橋爪健(1900〜)。文芸評論家。
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[22](二二)陽春二三月…… 「古詩源」に出る。北魏の胡太后の作。題は「楊白花」。「陽春二三月。楊柳ひとしく花を作す。春風一夜閨闥(寝室の入口)に入り、楊花飄蕩(ひらひら)南家に落つ。情を含み戸を出づれば脚に力無し。楊花を拾ひ得て涙臆をうるほす。秋去り春来る雙燕子(二匹の燕)。願はくは、楊花を銜みて、[su] 裏(自分達の巣の中)に入らんことを。」
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[23](二三)エミイル・ヴェルハアレン (Emile Verhaeren, 1855〜1916) ベルギーの詩人。近代都市生活に取材し、実写的な詩を書いた。「触手ある都市」「修道院」など。
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[24](二四)黒島伝治 (1898〜1943)「文芸戦線」に属したプロレタリア小説家。香川県出身。シベリア出兵に従軍、この時の体験をのち「橇」「渦巻ける鳥の群」などに書いた。
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[25](二五)壺井夫婦 壺井繁治(1898〜)同栄(1900〜)の夫婦。ともに香川県小豆島出身。繁治は詩人。栄は小説家。
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[26](二六)たい子 平林たい子。(1905〜)。小説家。長野県出身。
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[27](二七)飯田 飯田徳太郎。アナーキストで、当時平林たい子と同棲していた。
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[28](二八)前田河 前田河広一郎(1888〜1959)。小説家。十九歳で渡米、その時の体験をもとにした「三等船客(大正九年)」を発表、文名を得た。「種蒔く人」「文芸戦線」の同人として活躍。わが国のアプトン・シンクレーアと称された。
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[29](二九)萩原 萩原恭次郎(1899〜1938)。アナーキスト詩人。群馬県の人。壺井繁治等と大正十二年一月「赤と黒」を創刊。詩集「死刑宣告(大正十四年)」は画期的な著作。
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[30](三○)槐多 村山槐多(1896〜1919)。詩人・画家。大正七年、日本美術院試作展に入賞。デカダンの生活にふけり、二十四歳で死。死後詩集「槐多の歌へる(大正九年)」等出版。
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[31](三一)メフィストフェレス (Mephistopheles) ドイツのファウスト伝説中の悪魔。語源はギリシャ語で「光を愛せざる者」の意。伝説では、魔法の力によってファウストの欲望を満足させ、最後に彼を地獄に落して破滅させる悪魔となっている。ゲーテは「ファウスト」の中で、メフィストフェレスを皮肉な機知をもてあそぶ世俗的存在とし、ファウストを堕落させ得ず、神との賭に敗退させている。
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[32](三二)ルナチャルスキイ (Anatorii Vasilievich Lunacharskii, 1857〜1933) ソ連の文芸批評家・劇作家。ソビエト文化建設者の一人。ソ連の学校の理論的・組織的基礎を作りあげる仕事を指導。マルクス主義芸術理論家。主著「宗教と社会主義」「解放されたドン・キホーテ」など。
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[33](三三)マグダラのマリヤ 〔Maria of Magdala(英)〕 キリストの女弟子。悪魔に悩まされていたのをイエスによって癒された。イエスの十字架の死を見守り、香料をもってその墓をおとずれ、復活のイエスにあった。「罪を悔いた女」と同一視される。
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[34](三四)かたゐ 乞丐。乞食のこと。詩は室生犀星の作。「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて 遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや。」
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[35](三五)鬢窓 日本髪で左右側面の髪。
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[36](三六)月はおぼろに白魚の...... 河竹黙阿弥作「三人吉三巴白浪」大川端の場のお嬢吉三のセリフ。声色やがこのんでやるもの。
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[37](三七)銀流し 見かけだおし。見かけは良いが、心のなさそうな人間。
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[38](三八)雁木 船つきのあがり場にある階段、橋の上の棧
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[39](三九)おへんろ お遍路。祈願のため弘法大師修行の遺跡四国八十八ヵ所の霊場を巡礼する人。
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[40](四○)月琴ひき 月琴はシナ伝来の弦楽器。胴は月形でひらたく、四弦八柱のもの。それを弾奏しながら唄う流しの艶歌師。
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[41](四一)ヴァガボンド 〔vagabond(仏)〕 放浪者。
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[42](四二)ワイルド・プロフォンディス ワイルドはOscar Wilde(1856〜1900)、イギリスの耽美主義的な詩人・劇作家。プロフォンディスは、彼が男色事件により投獄された時書いた「獄中記」(De Profundis,1905)。
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[43](四三)モッブ 〔mob(英)〕群集。
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[44](四四)プロヴァンスの歌 Provenceは南フランス、ローヌ川以東、イタリアに接する地中海沿岸地方。響きの高い方言にラテン語の影響が感じられ、詩歌にも民謡調のものが多い。
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[45](四五)おしゅん伝兵衛 人形浄瑠璃及び歌舞伎「近頃河原達引」の作中人物。井筒屋伝兵衛と先斗町近江屋の遊女お俊との心中巷説を主題にしたもの。
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[46](四六)ヒンケルマン 正しくはヒンケマン(Hinkemann)。ドイツの劇作家トラー(Ernst Toller,1893〜1939)が1923に書いた戯曲。邦訳名「ドイツ男ヒンケマン」。戦傷のため不能者になった男の悲劇。
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[A] Hayashi Fumiko zenshu (Tokyo: Bunsendo, 1977, vol. 1) reads 砂ぼこり.
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[47](四七)オイチニイの薬屋 明治大正年間、軍帽、軍服姿で古風な手風琴などをかなで、オイチニ、オイチニの号令を歌のあいの手にして薬の効能をふし面白く語り、売薬を売り歩いた行商人。
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[48](四八)私の母さんは阿波の徳島十郎兵衛 十郎兵衛は、近松半二作の浄瑠璃「傾城阿波の鳴門」中の人物。夕霧の件に伊達騒動をからませたもの。特に有名なものは八段目の阿波の十郎兵衛内の場で、幼い頃国に残してきた娘のお鶴が巡礼姿できたのを母のお弓はわざと名のらず帰したが、夫の十郎兵衛は金のために娘とも知らず殺してしまうという悲惨な場面。
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[49](四九)済度 〔仏〕菩薩が衆生の迷いを悟し、その苦しみを救うこと。すくいわたすこと。
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[B] Hayashi Fumiko zenshu reads 放浪記第二部 at this point.
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[50](五○)サーニン 〔Sanin〕ロシアの小説家アルツィバーシェフ〔Mikhail Petrovich Artsybashev,1878〜1927〕の作品。虚無主義者サーニンをめぐる恋愛を描いたもので、大胆な官能描写で有名。サーニズムの流行語を生んだ作品。
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[51](五一)だるま上がり かつて売春婦をしていた意。
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[52](五二)「自然と人生」 徳富蘆花著の文集。明治三十三年(1900)刊。著者の小説、史伝、随筆など数十編を収録。特に文章の美しさで有名。
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[53](五三)玉づけ 簿記。出納、増減を帳簿に記録し、計算、整理して、その結果を明らかにする記帳方式。
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[54](五四)マズルカ 〔mazurka〕ポーランドの民族舞曲。四分の三拍子または八分の三拍子の快活なリズムの曲。
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[55](五五)ピジカット 〔Pizzicato(伊)〕はじくこと。ヴァイオリンやセロで弓を用いず、指ではじくこと。
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[56](五六)ニイカイ サンヤリ 取引場内のことば。二円の買い物、三円の売り物があるの意。
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[57](五七)場 取引所内の売買取引をする所。
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[58](五八)合百師 株や米の相場を標準にした賭博行為を職業的にする人。
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[59](五九)アミダ 阿弥陀籤。くじに記された金額を出しあって菓子など買い平等に分配するもの。
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[60](六○)ガランス 〔garance(仏)〕植物、及び絵具の名。あかね、あかね色。
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[61](六一)川端画塾 川端玉章のひらいた川端画学校か。玉章は京都の人で大正二年七十二歳で死んだが、小石川富坂町に住み、川端画学校を設けて、円山派の画法を教授。歿後も、門人島崎柳塢等が次いで大正末期はすこぶる繁昌した。
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[62](六二)リゴレット 〔Rigoletto〕ユーゴーの悲劇に基づいて、イタリアのヴェルディ〔Giuseppe Verdi,1813〜1901〕が作曲した歌劇、一八五一年初演。
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[63](六三)ボア 〔boa(英)〕毛皮または羽などの婦人用襟巻
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[64](六四)コンテ 〔conté(仏)〕クレヨンの一種、鉛筆より濃淡がはっきりし、素描、写生に用いる。
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[65](六五)アパッシュ 〔apache(仏)〕パリの一種の無頼漢。
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[66](六六)お半長右衛門 世話浄瑠璃「桂川連理柵」の両主人公。菅専助作。安永五年(1776)大阪北堀江座で初演。四十男帯屋長右衛門と十五娘信濃屋お半の異色恋愛心中を軸に、貞淑な女房、家督をねらう継母とその連れ子をからませた人情物語。
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[67](六七)竜之介の「戯作三昧」「戯作三昧」は芥川竜之介の中篇小説の一で、大正六年(1917)に「大阪毎日新聞」に連載されたもの。「八犬伝」の作者馬琴を自己の傀儡としてその身にまつわる色々な問題を描こうとした作品で、芥川の初期の歴史小説を代表する名作。
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[68](六八)「魔術」芥川竜之介が大正九年一月「赤い鳥」に発表したメルヘン的短編。印度人の魔術師のことを書いてある。
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[69](六九)アルスの北原 アルスは文芸美術図書出版社の名。社長は北原鉄雄で、白秋の弟。
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[70](七○)チェホフの「かもめ」 チェホフ〔Anton Pavlovich Chekhov,1860〜1904〕ロシアの作家。世紀末の暗い現実の中に生きる市民、知識人を主人公とした中短篇の小説、戯曲を発表。「かもめ」はチェホフの心理的戯曲。
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[C] Hayashi Fumiko zenshu reads 下手だとおっしゃる.
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[71](七一)秋田雨雀 (1883〜1962)小説、童話、劇作家、青森県の生。本名は徳三。早大英文科卒、左翼作家として活躍。もと舞台芸術学院学長。
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[D] Hayashi Fumiko zenshu reads なんか.
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[72](七二)クープリンの「ヤーマ」 クープリン〔Aleksandr Ivanovich Kuprin,1870〜1938〕ロシアの作家。豊富な体験に基づいて写実的な作品を発表、「ヤーマ」は1910年作。「魔窟」と訳す、娼婦の悲惨な生活を冷静に描いたものとして異常なセンセーションをおこした。
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[73](七三)コント 〔conte(仏)〕一口ばなし、諷刺と機知にとんだ短い小説。
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[74](七四)おしょうろ流し 盆行事の一で、七月十三日に迎えた死者の霊を十五日の夕または十六日朝に、海や川に流す行事。精霊流し。
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[75](七五)「ポオルとヴィルジニイ」 〔Paul et Virginie〕フランスの作家、サン・ピエール〔Saint-Pierre,1737〜1817〕の小説。フランスの植民地フランス島の美しい自然の中での不幸な運命をになう少年少女の可憐な美しい恋物語を描いたもの。
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[76](七六)キング・オブ King of Kings ここではウィスキイの名。当時最高最良のウィスキイの名。
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[77](七七)ケマルパシヤ 〔Mustafa Kemal Pasha,1881〜1938〕トルコ共和国初代大統領。第一次大戦に活躍。一九二○年、セーヴル条約に反対して国民運動の先駆に立ち、帝政を倒し、アンゴラ政府を樹立。二三年初代大統領となり、トルコの近代化につとめた。
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[78](七八)河合武雄 (1877〜1942)新派俳優、本名は内山武次郎。歌舞伎俳優五世大谷馬十の子。東京の生。明治から大正にかけて活躍した新派の女形。
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[79](七九)トヤについた もとは鶏が産卵のため巣に入ることで、ここは旅廻りの芸人や役者が買手がなく舞台に出られないで宿にごろごろしていること。
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[80](八○)アイーダー 〔Aida〕イタリアの大作曲家ヴェルディ〔Giuseppe Verdi,1813〜1901〕が作曲した歌劇。古代エジプトの物語をテーマとしている。
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[81](八一)りょうあん 〔諒闇(まこと暗しの意)〕天子が喪に服する期間。
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[82](八二)朝でも夜でも牢屋はくらい……正しくは「夜でも昼でも、牢屋は暗い。いつでも鬼めが、ああ、ああ、窓からのぞく」ゴリキイの「どん底」で歌われる歌。小山内薫訳詞。
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[83](八三)山田清三郎 (1896〜)プロレタリア小説家、評論家、京都の人「種蒔く人」同人。「文芸戦線」「戦旗」などを編集、著書「日本プロレタリア文芸運動史」等。
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[84](八四)ゴヤの描いたマヤ夫人 ゴヤ〔Francisco José de Goya y Lucientes,1746〜1828〕スペインの画家。肖像画、風俗画、宗教画に秀いでた。マヤ夫人は彼の傑作として有名、美女の横になっている図画だが、着衣のと、裸婦像と二種ある。
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[85](八五)ジュウ 〔Jew〕(英)ユダヤ人。
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[86](八六)ヴアニティケース 〔vanity case(英)〕婦人の携帯用化粧道具入れ。
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[87](八七)秋声 徳田秋声(1871〜1943)小説家、金沢の生。本名、末雄、尾崎紅葉の門下。自然主義の代表的作家の一人。
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[88](八八)順子 山田順子のこと。秋声の愛人、秋声の長篇「仮装人物」その他のモデルとして有名。
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[89](八九)昼夜帯 表と裏にちがった布地を用いた腹合せの帯。
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[90](九○)モンタージュ 〔montage(仏)〕種々の像を組み合せて一種の画面を作り出すこと、
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[91](九一)三上於莵吉 (1891〜1944)大衆小説家、埼玉県の人。長谷川時雨の夫。「白鬼」「雪之丞変化」などの作がある。
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[92](九二)吉田絃二郎 (1886〜1956)小説家、佐賀県の生。早大英文科卒、本名源次郎。「島の秋」「わが詩、わが旅」など感傷的な作品が多い。
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[93](九三)イザベラ皇后様 〔Isabella;Isabel,1451〜1504〕カスティリヤとレオンの女王。一四七七――一五○四在位。アラゴンのフエルディナンドと結婚してスペイン統一の基を開いた。コロンブスのアメリカ発見を援助した。
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[94](九四)コロンブス 〔Christopher Columbus,1466頃〜1506〕イタリアの航海者。スペイン女王イサベラの援助を得て、一四九二年アジアに向けてポルトガルを出発。西インド諸島サン・サルバドルに上陸。後三回の航海でジャマイカ、南アメリカ、中部アメリカを発見。
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[95](九五)ソロモンの百合の花 ソロモン〔Solomon, 在位B.C.971頃〜932頃〕イスラエルの王。ダビデの子。栄華を極めた。ここは新約、マタイ伝第六章イエスが野の百合の花を見て、「ソロモンの栄華の極の時だにもその装この花の一つに及ばざりき」といったのによる。
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[96](九六)「一茶句集」 小林一茶(1763〜1827)江戸後期の俳人。本名、小林信之。通称、弥太郎。信濃国柏原の人、俗語、方言を駆使した主観的な作風で一家をなした。「おらが春」「一茶発句集」など。
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[97](九七)シャアロー 〔shallow(英)〕浅薄、うすばかの意か、不詳。
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[98](九八)宮島資夫 (1886〜1951)小説家、アナーキスト。大正五年「坑夫」で注目され、晩年は妻子をすてて僧籍に入った。
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[99](九九)バテレン 〔padre(ポルトガル語)師父の意の転〕キリスト教のこと。
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[100](一○○)ゼウス〔Zeus(ギリシア語)〕ギリシア神話の最高神。天空神、雷霆神であると同時にあらゆる社会生活の中心の神。
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[101](一○一)爆竹 短い竹筒または紙筒に火薬をこめて点火し爆発させるもの、中国では元旦、祝日などに用いる。
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[102](一○二)ゴリ 烏瓜の九州方言。
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[103](一○三)ウオルター・ペイター 〔Walter Horatio Pater,1839〜1894〕イギリスの作家、評論家。オックスフォード大学学監、イタリア文芸復興期の芸術に傾倒。「文芸復興」「享楽主義者マリウス」など。
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[104](一○四)松井須磨子 (1886〜1919)新劇女優、本名小林正子。長野県の人、坪内逍遥の文芸協会演劇研究所に入り、初舞台に「ハムレット」のオフェリアを演ず。後、島村抱月の芸術座に入り、カチューシャ、カルメンなどを演じ、全国を風靡した。抱月の死を追って、その翌年自殺した。
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[105](一○五)大熊長次郎 (1901〜1933)歌人、八王子の人。古泉千樫の門人、千樫歿後「青垣」創刊編集した。昭和八年一月自殺。