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十八雑哥下
読人しらず
題しらず
小野たかむらの朝臣
をののさだき
かひのかみに侍りける時、京へまかりのぼりける人 につかはしける
小野小町
文屋のやすひでみかはのぞうになりて、あがた見に はえいでたたじやといひやれりける返事によめる
題しらず
よみ人しらず
これたかのみこ
ふるのいまみち
そせい
よみ人しらず
もののべのよしな
おなじもじなきうた
凡河内みつね
山のほうしのもとへつかはしける
物思ひける時、いときなきこを見てよめる
よみ人しらず
題しらず
ある人のいはく、高津のみこの哥也
たかむらの朝臣
おきのくににながされて侍りける時によめる
在原行平朝臣
田むらの御時に、事にあたりてつのくにのすまとい ふ所にこもり侍りけるに、宮のうちに侍りける人につかはしける
をののはるかぜ
左近将監とけて侍りける時に、女のとぶらひにおこ せたりける返事によみてつかはしける
平さだふん
つかさとけて侍りける時よめる
みやぢのきよき
みこの宮のたちはきに侍りけるを、宮づかへつかう まつらずとてとけて侍りける時によめる
清原深養父
時なりける人の、にはかに時なくなりてなげくを 見て、みづからのなげきもなくよろこびもなきことを思ひてよめる
伊勢
かつらに侍りける時に、七条の中宮のとはせ給へり ける御返事にたてまつれりける
なりひらの朝臣
紀のとしさだが阿波のすけにまかりける時に、むま のはなむけせむとて、けふといひおくれりける時に、ここかしこにまかりありきて夜ふ くるまで見えざりければつかはしける
惟喬のみこのもとにまかりかよひけるを、かしらお ろしてをのといふ所に侍りけるに、正月にとぶらはむとてまかりたりけるに、ひえの山 のふもとなりければ雪いとふかかりけり、しひてかのむろにまかりいたりてをがみける に、つれづれとしていと物がなしくて、かへりまうできてよみておくりける
深草のさとにすみ侍りて京へまうでくとて、そこな りける人によみておくりける
よみ人しらず
返し
題しらず
この哥は、ある人、むかしをとこありけるをうな の、をとことはずなりにければ、なにはなるみつのてらにまかりてあまになりて、よみ てをとこにつかはせりけるとなむいへる
返し
みつね
ともだちのひさしうまうでこざりけるもとによみ てつかはしける
人をとはでひさしうありけるをりにあひうらみけれ ばよめる
むねをかのおほよりがこしよりまうできたりける時 に、雪のふりけるを見て、おのがおもひはこのゆきのごとくなむつもれるといひけるを りによめる
宗岳大頼
返し
きのつらゆき
こしなりける人につかはしける
よみ人しらず
題しらず
きせんほうし
よみ人しらず
よしみねのむねさだ
ならへまかりける時に、あれたる家に女の琴ひきけ るをききてよみていれたりける
二条
はつせにまうづる道に、ならの京にやどれりける時 よめる
よみ人しらず
題しらず
伊勢
家をうりてよめる
きのとものり
つくしに侍りける時にまかりかよひつつごうちける 人のもとに、京にかへりまうできてつかはしける
みちのく
女ともだちと物がたりしてわかれてのちにつかはし ける
ふぢはらのただふさ
寛平御時にもろこしのはう官にめされて侍りける時 に、東宮のさぶらひにてをのこどもさけたうべけるついでによみ侍りける
よみ人しらず
題しらず
ある人、この哥は、むかしやまとのくになりける人 のむすめに、ある人すみわたりけり、この女おやもなくなりて家もわるくなりゆくあひ だに、このをとこかうちのくにに人をあひしりてかよひつつ、かれやうにのみなりゆき けり、さりけれどもつらげなるけしきも見えで、かふちへいくごとにをとこの心のごと くにしつついだしやりければ、あやしと思ひて、もしなきまにこと心もやあるとうたが ひて、月のおもしろかりける夜かふちへいくまねにて、せんざいのなかにかくれて見け れば、夜ふくるまでことをかきならしつつうちなげきて、この哥をよみてねにければ、 これをききてそれより又ほかへもまからずなりにけりとなむいひつたへたる
文屋ありすゑ
貞観御時、万葉集はいつばかりつくれるぞととはせ 給ひければよみてたてまつりける
大江千里
寛平御時哥たてまつりけるついでにたてまつりける
ふぢはらのかちおむ
伊勢
哥めしける時にたてまつるとてよみて、おくに かきつけてたてまつりける
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