University of Virginia Library

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皇太后宮大夫俊成

久安百首の歌奉りける長歌

志きしまや やまと島ねの かぜとして 吹き傳へたる ことの葉は 神の御代より  かはたけの 世々に流れて 絶えせねば 今もはこやの やまかぜの 枝もならさず しづけさに むかし の跡を たづぬれば 峰の木ずゑも かげしげく よつの海にも なみ立たず 和歌のうら人 かずそひて  藻汐のけぶり 立ちまさり 行く末までの ためしをぞ 島のほかにも きこゆなる これを思へば きみ が代に あふくま河は うれしきを みわだに懸る うもれ木の しづめること は からびとの みよ迄あはぬ なげきにも 限らざりける 身のほどを 思へばかなし かすがやま 峯 のつゞきの まつがえの いかに指ける すゑなれや きたの藤なみ かけてだに 云にもたらぬ しづえ にて した行く水の こされつゝ いつゝの品に としふかく 十とてみつに へにしより よもぎの門に  さしこもり みちのしば草 おひはてゝ 春のひかりは こととをく 秋はわが身の うへとのみ つゆけ き袖を いかゞとも とふ人もなき まきの戸に 猶ありあけの つきかげを まつ ことがほに ながめても 思ふこゝろは おほぞらの 空しき名をば おのづから 殘さむことも  あやなさに なにはのことも 津のくにの 葦のしをれの 刈りすてゝ すさび にのみぞ なりにしを きし打つ浪の たちかへり かゝるみことも かしこさ に 入江のもくづ かきつめて とまらむ跡は みちのくの 忍ぶもぢずり みだれつゝ 忍ぶばかりの  ふしやなからむ