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良寛歌集 (Kashu) | ||
人の國にはありもやすらん知らず、この國には疱瘡の 神とて七としに一たび國めぐりすと言ふ怪しのものありて、幼きものを惱ましける。 今年は異年にも似ず病めるものの生けるはなし、辛うじて生けるは鬼の面となる故、 子持てるものは人の心地せず日毎に野に送るひつぎを數ふれば大指も指なえつべし。 この頃その病にて幼子を失ひし人の許より、そこ/\のあつらひものとて自らのもそ へてもたせておこしたりける。持たせておこせたりし人なん幼兒のこのかみにてあり ける。さて末の殘りしはいかがと言へば、これも同じ病にてをとつひ空しくなりにた りと言ふを聞きて親のもとへよみてつかはしける。(四首)
煙だに天つみ空に消えはてて面影のみぞ形見ならまし
良寛歌集 (Kashu) | ||