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良寛歌集 (Kashu) | ||
○
墨染の我が衣手のひろくありせば世の中の貧しき人をおほはまし
ものを
墨染の我が衣手のひろくありせばあしびきの山のもみぢばおほは
ましものを
白雪はいく重もつもれ積らねばとてたまぼこの道ふみわけて君が
來なくに
春といへば天つみ空は霞みそめけり山のはの殘れる雪も花とこそ
見め
岩室の田中に立てる一つ松の木今朝見れば時雨の雨にぬれつつ立
てり
我が宿の葉びろ芭蕉を見に來ませ秋風に破れば惜しけん葉びろの
ばせを
さすたけの君と語りし秋の夕べはあらたまの年はふれどもわすら
れなくに
草のべの螢となりて千年をもまたんいもが手ゆ黄金の水をたまふ
といはば
山かげのまきの板屋に音はせねどもひさがたの雪の降る夜は空に
しるけれ
良寛歌集 (Kashu) | ||