University of Virginia Library

おなじ歌

わが背子がみまかりしより
あらたまの年の八とせを
つれもなく荒れたる宿に
たをや女が獨し住めば
慰むる心はなしに
なげきのみ積りつもれば
かげのごと我が身はなりぬ
今更に世にはあれども
ありのみのありがひなしと
思ひとて一日に千度
死なめとは思ひはすれど
我が背子がかたみに殘す
二人の子見るに心も
しのびずてかにもかくにも
言はんすべせんすべ知らに
こもりゐてねのみし泣かゆ
朝な夕なに