後拾遺和歌集 (Goshui wakashu [Introduction]) | ||
11. 後拾遺和歌集第十一
戀一
後朱雀院御製
東宮と申しける時故内侍のかみのもとにはじめてつかはしける
叡覺法師
はじめたる人につかはしける
馬内侍
題志らず
源頼光朝臣
女をかたらはむとて乳母のもとにつかはしける
源頼家朝臣母
かへし
ある人のいはく、この歌中納言惟仲に後れて侍りける折かくいへりければめのとにかはりてよめる。
平經章朝臣
はじめたる女につかはしける
大江嘉言
和泉式部
男のはじめて人のもとにつかはしけるにかはりてよめる
藤原實方朝臣
女にはじめてつかはしける
實源法師
はじめの戀をよめる
源則成
月あかき夜ながめしける女に年へてのちつかはしける
藤原長能
心かけたる人につかはしける
讀人しらず
はらから侍りける女の許におとゝを思ひかけてあねなる女のもとにつかはしける
藤原通頼
題志らず
道命法師
祭主輔親
八月ばかり女のもとに薄の穗にさしてつかはしける
藤原兼房朝臣
題志らず
源兼澄
女をひかへて侍りけるになさけなくていりにければつとめてつかはしける
中納言公成
五節に出でゝかいつくろひなどし侍りける女につかはしける
藤原能道朝臣
始めて女の許に春立つ日遣しける
能因法師
題志らず
祭主輔親
ふみつかはしける女の返事せざりければよめる
道命法師
返事せぬ女のこと人には遣るときゝて
返事せぬ人に山寺にまかりてつかはしける
前大納言公任
女の家ちかき所にわたりて七月七日につかはしける
藤原隆賢
七夕の後朝に女の許に遣はしける
馬内侍
人の氷をつゝみて身に志みてなどいひて侍りければ
藤原顯季朝臣
題志らず
御製
うへのをのこども所の名をさぐりて歌奉り侍りけるに逢坂の關の戀をよませ給へる
道命法師
題志らず
讀人志らず
かへし
和泉式部
源頼綱朝臣
入道一品宮に侍りけるみちのくにがもとにつかはしける
源政成朝臣
うれしきといふわらはにふみかよはして侍りけるにこと人にものいはれて程なく忘られにけりときゝてつかはしける
平兼盛
題志らず
藤原爲時
文かよはす女ことかたざまに成りぬと聞きてつかはしける
相模
公資の朝臣にあひぐして侍りけるに中納言定頼忍びて音づれけるをひまなきさまにやみえけむ、絶間がちにおとなひ侍りければ
大中臣能宣朝臣
春より物いひける女の秋になりて露ばかり物いはむといひて侍りければ八月ばかりにつかはしける
堀川右大臣
宇治前太政大臣の家の卅講の後の歌合に
相摸
やんごとなき人を思ひかけたる男にかはりて
藤原道信朝臣
女のもとにつかはしける
永源法師
題志らず
赤染衛門
源道濟
女のふちに身をなげよといひ侍りければ
大中臣能宣朝臣
題志らず
賀茂祭のかへさに前駈つかうまつれりけるに青色の紐の落ちて侍りけるを女の車より唐衣の紐をときてとぢつけたりけるを尋ねさせけれど誰とも志らでやみにけり。又の年の祭の垣下にて齋院に參りて侍りけるに女の、いづら、つけし紐はと音づれて侍りければつかはしける
讀人志らず
かへし
能因法師
題志らず
西宮前左大臣
女のもとにつかはしける
小野宮太政大臣女
かへし
小辨
題志らず
平兼盛
永成法師
長久二年弘徽殿の女御の家の歌合しけるによめる
中原政義
俊綱の朝臣の家に題を探りて歌よみ侍りてけるに戀をよめる
良暹法師
ふみにかゝむによかるべき歌とて俊綱の朝臣人々によませ侍りけるによめる
藤原國房
左大臣
關白前左大臣の家に人々經年戀といふ心をよみ侍りけるに
右大臣
道命法師
日ごろ今日とたのめたりける人のさもあるまじげに見え侍りければよめる
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