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待賢門院堀川
おなじ百首の歌奉りける時の長歌
とき志らぬ 谷のうもれ木 くちはてゝ むかしの春の こひしさに 何のあやめも わかずのみ 變らぬつきの かげ見ても 時雨にぬるゝ 袖のうらに 潮たれまさる あまごろも 哀をかけて とふひとも 波にたゞよふ つりぶねの 漕ぎ離れにし 世なれども 君にこゝろを かけしより 繁きうれへも わすれぐさ 忘れがほにて すみの江の 松のちとせの はる%\と こずゑ遙かに さかゆべき ときはの陰を たのむにも なぐさの濱の なぐさみて 布留の社の そのかみに 色ふかゝらで わすれにし もみぢの下葉 のこるやと 老曾のもりに たづぬれど 今はあらしに たぐひつゝ 霜枯れ%\に おとろへて かき集めたる みづぐきに 淺きこゝろの かくれなく 流れての名を をしどりの 憂き例にや ならむとすらむ
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