おほやけづかひにて東の方へまかりける程にはじめてあひ志りて侍る女にかくやむことなき道なれば心にもあらずまかりぬるなど申して下り侍りけるを後に改め定めらるゝ事ありてめしかへされければ此女聞きて喜びながらとひにつかはしたりければ道にて人の心ざし送りてはべりけるくれはとりといふ綾を二むら包みて遣しける