University of Virginia Library

第二百十段

喚子鳥は春の物なりとばかりいひて、如何なる鳥ともさだかに記せる物なし。ある眞 言書の中に、喚子鳥鳴く時、招魂の法をば行ふ次第あり。これは鵺なり。萬葉集の長 歌に、「霞立つながき春日の」などつゞけたり。鵺鳥も喚子鳥のことざまにかよひて きこゆ。