University of Virginia Library

第百四十六段

明雲座主、相者に逢ひ給ひて、「己若し兵仗の難やある」と尋ね給ひければ、相人、 「誠に其の相おはします」と申す。「いかなる相ぞ」と尋ね給ひければ、「傷害のお それおはすまじき御身にて、かりにもかくおぼしよりて尋ね給ふ、是れ既に其のあや ぶみのきざしなり」と申しけり。果して矢に當りて失せ給ひにけり。